2012年アイルランドの旅 ~7月13日 ミルタウンマルベイ~

今日は午後からブレンダンとラジオに出演して演奏することが決まっている。さらに、予てから連絡を取り合っていたジョン・ヒックスともどこかで会えるだろう。そして夜はジョセフィンと一緒。予定が山盛りだ。

ラジオはすべてがゲール語で進行している。僕と希花は何もわからず、ただすわってにこにこしているだけ。ブレンダンが曲目を言ってカウントを取って、Ukepick Waitzをまず演奏し、そしてまたにこにこして、Master Crowleysを演奏して15分の出演が無事終了した。

ブレンダンと別れてまた、ぶらぶらしているとカハル・マコーネルに出会った。少し立ち話をして別れると、通りをにこにこして一目散に渡ってくる奴がいる。その風貌を見て希花が「あっ、ジョン・ヒックス」と叫んだ。

実に17~8年ぶりだ。少しも変わっていない。どこかでやろう、と一緒に引き連れてきた仲間を一通り紹介してくれた。僕のほうも、いつも一緒にやっていて、どれだけ君の事を話しているか…といって希花を紹介。そして場所探しにあるきまわり、あるパブの裏手にあるパティオに落ち着いた。さすがに鼻が利く。

久しぶりに彼の凄まじいテクニックと、えもいわれぬタイミングでぐいぐい押してくる独特のギタープレイに酔った。

しかし、他の音にじっと目をつぶって、真剣に耳を傾ける姿はさすがに一流のプレイヤーである。自分の音だけを押し出してくるわけではない。日本のアイリッシュミュージックファン達が彼のプレイを生で聴いたことがない、というのは不幸だ。いつか是非日本の地を踏ませたいものだ。

4時間ほど彼と一緒に過ごした後、ジョセフィンとの待ち合わせの場所に行った。そして途中少し彼女の家に寄り、相方のミック・キンセラをピックアップして一路キルラッシュへ。すぐ近くよ、と言っていたが軽く一時間ほどすっ飛ばして目的地であるパブに着いた。

地元のフィドラーが3人ほど加わった一番いいパターンの落ち着いたセッションだ。ミックはコンサルティーナを弾きながら、ボブ・ディランのようにホルダーにセットしたハーモニカを吹いて歌を歌ったりする。

それにジョセフィンのアコーディオンが絡む極上の音楽を楽しんでいると、よく知っている顔が入ってきた。もちろん体も一緒だ。そしてその体全身で驚きを示した。こちらに長いこと住んでいるコンサルティーナのウノヒロコさんだ。

コンサルティーナという楽器に惚れて、アイルランドの音楽をこよなく愛し、とうとうアイルランドに来てしまったという、いつもにこやかでパワフルな人だ。

まさか僕らがここに居るとは思わなかったらしい。いい感じのテリー・ビンガム譲りのプレイを聴かせてくれた。

1時をまわったころブレンダンの家に戻ると、15~6人の若者たちが騒いでいた。みんなミュージシャンだ。ほとんどがブレンダンの娘やシェーマスの子供たちの友人や、そのまた友人達。困ったことにケリーから来ているらしい。ケリーの人間は疲れ知らずで朝までどんちゃん騒ぎをする。結局、寝る態勢にはいったのもつかの間、4時ころから一大ポルカ大会に何故か加わっていた。