Mareka&Junji  THEGLEE

9月5日。このところどんよりとした天気が多く、ムシムシした日本の夏、ともすれば熱帯雨林のような気候になっていたが、この日は比較的ましな青空が朝から広がっていた。

でも油断は禁物。びくびくしながら神楽坂に向かった。

今回、初めての場所である。

それにアイルランドから帰ってきて初の単独ライブなので、気持ちも多少引き締まる。

マイクロフォンを使うかどうかでは迷ったが、「木の音へのこだわり」というコンセプトで作られたこの会場ゆえ、生音でやらせていただくことにした。

最初はスコットランドの古い名曲、Fear Bhata これはよくニーブ・パーソンズの歌で聴いていたものだが、アイルランドの教会でも演奏してきた。

そしてそのままMaids of Selma / Lost & Found のジグセット。Selmaという土地がアイルランドにあるかどうか知らない。というのも、最も有名なSelmaはキング牧師の行進で知られるアラバマ州の都市だ。

ともかく初めて聴いたのがミック・モロニー、ジミー・キーン、ロビー・オコンネルのアルバムだった。それからエマー・メイヨック。それ以外はあまり耳にしたことがない。

Lost & Found は1944年のマイケル・コールマン録音、それにパディ・キーナンとの演奏で覚えた曲だ。

今回のアイルランド・ツァーではLost & Found のお世話にはならなかったので、この曲に敬意を表して。

次はKitty O’Neil’s Champion Jig 以前からパディと一緒に演奏していたものだが、このところEdel Foxと一緒になる機会が多く、彼女のレパートリーとして必ず演奏していたものだ。7パートもあって長い曲だがとても可愛らしい。

続けてOak Tree / Reconciliation のセット。Oak Treeはリールの中でもかなり好きな曲だ。ディック・ゴーハンのギター・プレイは絶品だった。今回はゴールウェイで聴いたフィドラー Brid Harper に影響された希花さんがレパートリーに取り入れた。

Reconciliationは日本の若者にはよく知られた曲だ。さぁみんな乗っていこうぜ、みたいな曲なので普段僕らはあまり演奏しないが、前の曲とのつながりがいいので選んだ。

次はPaistin Fionn これは元々Danuの初期の頃の歌で聴いていたものだが、それとは少し違うバージョンでNoel Hill などが楽器演奏としてやっているのでそちらの方を参考にしている。続いてJob Of Journeywork セット・ダンスの名曲だ。

雰囲気がコロッと変わって“悲しくてやりきれない”“雨に消えた音楽会”そして1部の最後はI Ne’er Shall Wean Her 最近特に気に入っている曲だ。歌とのつながりもいい。

と、ここで30分ほどの休憩に入る。

THEGLEEのスタッフが大忙しでテキパキと動いている。

2部はAndy CuttingのIn Continental Mood / Flatworldでスタート。随分前から大好きだったBlowzabellaからの選曲だ。

そして、それから先は希花さんの今回のアイルランド・ツァーに於ける大活躍について長いお話をした。

誰もが人命救助ということをもっと身近に考えられるように、そして躊躇することなく行動をおこせるようになることが大切だという貴重なお話を聞けた。

そして、Come All Ye Fair And Tender Ladies すずめさんの歌というナターシャー・セブンでもよく知られた曲だ。アイリーン・オブライエンの歌で希花さんが気に入ったようだ。

そこで、次はアイリーンのお父上、パディのペンになる有名なセット、Iniscealtra /Town Teine / Ormond Soundの3曲を。

コンサルティーナでのLa BruxaからそのままRathlin Island / Michael Joe Kennedy これはジョセフィン・マーシュの演奏から覚えたものだ。デイル・ラスもやっていた。

そして、オールドタイム・スタイルでDry & Dusty / Indian Ate The Woodchuckの2曲。

これも最近のお気に入りだ。

少し押さえてJohnny Cunninghamの The Night In That Land

最後はパディ・キーナン、フランキー・ギャビンとも録音した、どだればち / The Abbey / Crooked Road To Dublinで閉めた。

通路を抜けて楽屋に引っ込み、アンコールといきたいところだったが、補助イスまで通路に出していただくという大盛況ぶりだったので、ステージに残ったままこれがアンコールということで、名曲、Parting Glassを。

カウンティ・クレア、タラの村にひっそりと佇むパブの元オーナー、フランに思いを馳せて。昨年の12月、85歳でこの世を去るまで、僕のアイルランドでの心の拠り所、大切な一人としていつも笑顔で迎えてくれ、希花にとってもいい御祖父ちゃんのような存在であった彼。

さぁ、ギネスを注いで、今宵の別れと、これからのみんなの幸せを祈って乾杯。

THEGLEEのスタッフのみなさん、そして足を運んでいただいた皆さんに感謝します。

雨、降らなくて良かったですね。