8月29日 大阪オッピドム
1年半ぶりの、元ロストシティ・キャッツのリード・ヴォーカル、今富君のお店。この日の大阪は暑かった。もしかしたら台風が来るかも知れない、と思われていたが、そこは「最強の晴れ男」なんとか大丈夫だろう、と思っていた。
果たして…またまたいい天気。少しどんよりしていたが、雨は降って来ない。しかし考えられないくらいに蒸し暑い。東京はここしばらく、少し空が秋めいてきたかな、と思わせるくらいになってきている。そのうち暑さがぶり返すだろうが。
お店は先週、大雨で閉めた、と言っていた。被害はなかったようで良かったが、大阪が大雨だったのは聞いていた。もう地球規模で天変地異だ。
今富君はもうベテラン中のベテランだ。ちょいちょい、とサウンドもセットしてくれる。彼を慕ってこの店にやってくるお客さんも多くいることが良く分かる。
日本のブルーグラス界、音楽界になくてはならない存在だ。
開演時間になると、お店はほぼ一杯。熱気に溢れている。なんとなく大阪のお客さん、という感じだ。外の暑さは気持ち悪いくらいだが、中の熱さは気持ちいい。
今富君もにこにこしてサウンド・エンジニアをしながら聴いてくれている。これって、演奏者にとってはすごく嬉しいし、頼りになることです。
厨房では、去年と変わらず、平岩さんが腕をふるってくれている。
時の経つのは早いもので、アイルランドから戻ってきてもう2週間にもなる。そして、バタバタしている間にこの日が来てしまった。でもやることがいっぱいあるっていうのは取りあえず生きている証になるかもしれない。
今富君もずいぶん精力的にお店を営業しているようだし、きっと忙しいんだろうな。なんといっても一番大変なのはお店のオーナーだろう。
また、終わってからみんなでナターシャーの唄などを歌いながらそんなことを考えていた。ここで、こうしてみんなが集まって音楽を楽しんでいる姿は美しいものだ。
今回、今富君の歌は聴けなかったが、またなにかのかたちでここに来れたら、今度は是非一緒に演奏したいものだ。
お手伝いをしてくれた女性は、アイリッシュ・ハープを演奏するし、この地にも多くのアイリッシュ・ミュージック・ファンとブルーグラス・ファンがいる。今富君は、彼ら両方をさりげなくサポートしてくれている。とても頼りにしています。
オッピドムに集まっていただいた全ての方に感謝します。
8月30日 奈良 丘の上食堂
今日こそは台風の影響を免れないだろう、と思いきや、ちっともそんな様子はない。朝、木内君の車で高見さん(秩父)と共に難波まで行った。ここから近鉄電車に乗るのだ。
木内君とはここでお別れ。次、会う時にはもうちょっと痩せているかな。水泳、頑張ってください。
さて、丘の上食堂は10年ぶり。前回と同じく昔からの友人である栄君が声をかけてくれた。丘の上食堂は、マスターの手作りソーセージが評判のお店だ。いや、それだけではない。料理の全てに心がこもっていてとても美味しいお店なのだ。
まず、極上の冷製パスタをご馳走になり、近くの豆屋さんで美味しいコーヒーをご馳走になり、これで帰って寝たら最高の人生、なんて…。
お店いっぱいのひとが集まってくれた。帰るわけにはいかない。少し雨も降ったようだが、台風とは程遠い。
希花さんは修学旅行以来の奈良。演奏で来るのは初めてだ。僕も10年ぶり。確かナターシャーの極初期の仕事でも来ている。1971年だっただろう。
希花さんとやり始めて3年目。近くまで来ていたが、なかなか足がのばせなかった。そんな僕等にとって初めての奈良が丘の上食堂で本当に良かった。
終わってから、同じく昔からの友人、塩田君も交え、楽しくジャム。そして更に打ち上げで沢山のお料理を出して戴いた。
是非また来たいお店だし、音楽もまたここでやりたいし…栄くん、これからもよろしくお願いします。仲間のみなさんも。
お天気があやふやだったこの日に集まっていただいた、沢山のみなさんに感謝します。
8月31日 神戸ロッコーマンホール
もういい加減台風の影響を受けてもいいだろう、と思いきや、蒸し暑いだけで雨は降らない。
今日の会を主催したのは僕で、あくまでトライアルであるのだ。(天才バカボンみたい)去年、三津谷リノさんにGalwayで出会ったことがきっかけになった。
彼女のお父さんは、元ロッコーマウンテン・ボーイズのバンジョー弾き。関西では名の知れた凄腕ピッカーだった。
家族で三津谷組という工務店みたいな名前のバンドをやっていることは知っていたが、全く交流はなかった。
僕は常から、アイリッシュ・チューンやスコティッシュ・チューンをアイリッシュとブルーグラスの両面から演奏してみたかったのだ。
どちらもそこそこ知っている、という人間では、なんとか太郎のやっているような“なんちゃって…”と変わらなくなってしまう。
これを企画するには、どちらに関してもかなりディープな世界に踏み込んだ経験が必要だろうな、と感じた。
今回は、企画したすぐ後に僕等はアイルランドに行ってしまうし、三津谷組は家族がみんなとことん自由に生きていて、なかなか顔を合わせない、ということだし、どうなるかわからなかったが、お母さんに会ってその心配も和らいだ。
なかなかの人だ。大人しい三津谷君とは正反対。多分リノちゃんは中間だろう。なにはともあれ素晴らしいエンタティナーだ。そこに控えめなギタリスト、堀川さんが加わる。
一部はそれぞれが25分ずつ演奏。2部でまず、僕と三津谷君とでダブル・バンジョーをやってみた。
若い時ならふたりでバリバリやるところだが、そんなわけにもいかない。なんかいい感じで年寄りふたりが楽しんで弾いているところが見えたら良かったかな、と思っている。曲はClinch Mountain Back Step とEarl’s Break Down.そしてリノちゃんと希花を呼んで僕と3人でMaids of Selma setとJerusalem Ridge.ギターに堀川さんを呼んでMason’s Apron/Devil’s Dreamを。
実際はCuckoo’s Nestのようにブルーグラスでは2パート、アイリッシュでは3パート、しかも少しだけメロディが違うもの、Blackberry Blossomのように全く違うものLord MacDonald’sとLeather Breechesの、どちらともつかない殆ど一緒の曲など、探せば沢山あるので、また次回ということで。
そして、みんなで一緒にWhiskey Before Breakfast/Soldier’s Joyと言わずと知れたバンジョー・チューンFoggy Mountain Break Downここではお母さんが素晴らしいバンジョープレイを聴かせてくれた。
そして困ったことにアンコールが来てしまったので、ここはこの会のきっかけになったリノちゃんと希花と僕とでSi Bheag Si Mhorを。
三津谷君、どうも有難う。二人でまともに弾いたのは初めてだと思います。とてもシャイな性格なのにプレッシャーを与えてしまったかもしれません。これに懲りずにまた一緒にお願いします。
リノちゃん、ひょんなことから出会えて、お父さんとも久しぶりにお会いすることが出来ました。お父さんとのフィドル&バンジョー、すごく良かったです。
お母さん、あなたは偉大だ。あなたのような人はそんなにいません。是非、どのような形であれ三津谷組を引っ張り続けて行ってください。
堀川さん、なんとも大変な立場でありながら、どうにでもなりそうなこのバンドと末永くお付き合い、よろしくお願いします。
そして、この日、台風が来そうだったのにめげることもなく集まっていただいたお客さんに感謝します。
奈良で鹿と遊んでいて開演時間に遅れた人もいました。遠く岡山から来てくれた人もいました。みんな有難うございました。
初めての試みで至らないところがあったかもしれないけど、本物の伝承音楽のクロス・オーバー、これからも企画してみたいと思っています。