言わずと知れた久保田さんのところでのレコ発ライブ。僕らは前日から前橋に行っておりました。
何故かと言うと、最も近しい知人のひとりである、佐々木幹郎氏が、第20回萩原朔太郎賞を受賞し、その授賞式に出席するためです。
その日の前橋はめっちゃ寒かった。
まず、屋外での除幕式。幸いにも短いものでありましたが、ブロンズ像の幕が外されるとそこには、萩原氏の所有しておられたらしい帽子とマンドリンを形取った像が静かにその時を待っていました。
瞬間的に気が付いたのですが、A線のペッグがひとつ無かったのは何故だろう。そのことに気が付いたのは僕だけだったようなので、敢えて伏せておくことにしよう。
そして、屋内での授賞式。詩人“佐々木幹郎”氏のスピーチは実に素晴らしかった。とても価値のある言葉のひとつひとつが心に響くようで、普段、個人的にたわいのない会話くらいしか交わさなかったのですが、改めて詩人としての存在の深さに気付かされたものでした。
その後、佐々木さんが講師を務めていた芸大の“ヴォイス・スペース”による演奏、そして谷川俊太郎さんとの対談などを楽しませていただき、僕らは前橋に住む友人の一人である佐藤“けんちゃん”の家に泊めていただきました。
奥さんとけんちゃん、希花と僕とで近くの温泉に行き、すっかり温まって家に戻り、またワインを飲みながら、2時近くまでおしゃべりに華が咲きました。
彼らは仕事で、イギリス、フランス、スペインと居住経験があり、今は殆ど中国人となっている。まさに国際人だ。
看護婦である奥さんの話はとても楽しく的を得たもので、そこに時々割り込んでくるけんちゃんの話も興味深いものがある。
スペインでフラメンコギターを習得し、今度は二胡をやってみようかと思っているらしい。
日本の政治家たちのおぞましいほどの恥さらしを、中国人があきれてみていることなどを聞くと、困ったものだな、という気持ちになってしまう。
朝は美味しいパンとコーヒーをいただき、一路久保田さんのもとへ。
天気にも恵まれ、また人脈にも恵まれている久保田さん。今回も沢山の人を集めていただいて感謝しています。
初めてここを訪れた時から、ここでやらせてもらいたい、と強く思い、それが実現してから今回でもう3度目になる。
この忙しい師走に、しかも少し前にお願いしても、快く引き受けてくれる久保田さん夫妻には足を向けて寝てはいけない。
レコ発、といえども、まだまだ他にやりたいことがいっぱいあって、CDは家でたっぷり聴いていただくことにして、なんて都合のいいことをいいながら曲目を決めていく。
これがなかなか大変である。これが決まれば音楽会の半分は終了したようなものだ。神経をすり減らすほどに考えるが、結局直前で、あるいはステージ上で変わることもある。それにしても200パーセントの準備をしていくのが常である。
それは、僕ら外国人がアイリッシュという音楽に携わる姿勢と同じことだ、と言えるかもしれない。
アイルランドの人はそんなことはどうでもいい。もう血の中にはいっているものなのだから。
ともあれ、アットホームな、いい音楽会が出来たんじゃないかな、と思います。秩父からはるばる坂本屋の定峰まんじゅうを持ってきてくれる高見さん。高見さんと書いて変換したら高見山と出た。いつもありがとうございます。
佐藤夫妻、そして床屋の中沢さん夫妻、おとさん、ハンマーダルシマーの高橋さん(夫妻?)名前は想い出せないけどいつも見る顔と顔。なんかどえらい礼儀正しい男の子。毎回成長してゆく様が見れてうれしいです。
久保田さん、何度も言いますが、本当にありがとうございます。そして足を運んで下さった全ての皆様に感謝いたします。
CD、ゆったりお茶でも飲みながら聴いてください。そして最後の曲では洗い物をしていただければ捗ると思います。