蒲田教会 CD リリース・パーティ

またまた、いい天気。でも風が冷たい。ようやく冬らしくなってきたが、お天気レポートなどでは、「真冬なみの寒さ」と言っている。12月はまだ真冬ではないのだ。

ともあれ、今日は東京でのCDリリースだ。

“Music In The Air”というタイトルの今回の録音は、その名の通りスローな美しい曲が中心になっている。

スローな曲の和声を考えながら弾くのはとても好きだ。時に分数コードはいい響きを与えてくれる。それらをリードに絡めていく時がギターを弾いていてとても気持ちのいい瞬間となる。

リードも瞬間的にそれを察知してアンサンブルを創っていく。

今回、CDリリースとは言っても、まだまだやりたい曲がいっぱいあるので、CD以外のレパートリーからも沢山やらせていただいた。

まず、僕らふたりとも大好きなバッハの名曲“主よ、ひとの望みの喜びよ”からオキャロランの“Loftus Jones”

そしてCDから2曲ほど演奏して、以前坂庭君とやっていた曲がブリタニーのものだと思っていたが、今回ジョン・ヒックスのコレクションにより、ブルガリアの曲だと言うことが判明した曲から、ブリタニーのグループ“コルノーグ”で覚えた曲へ。そして、シェーマス・イーガンのバンジョーで覚えた“The Guns of Magnificent Seven”へ。

そして、ローラ・リスクというフィドラーから覚えたスコットランドの古い古い曲。ローラは96年ころ“ティプシー・ハウス”のフィドラーだった。

まだUCバークレーで数学を専攻する学生だったが、スコティッシュ・スタイルの素晴らしいフィドラーでアラスデァ・フレイシャーを彷彿とさせる子だった。

頭の良さは希花さんと同格だが、顔かたちの整った男の子みたいだった。最近はユーチューブでも聴くことが出来る。

彼女のアルバムのなかの“She’s Sweetest When She’s Naked”というなんとも怪しげなタイトルの美しい曲。

それから、今回珍しい歌も唄ってみた。サイモンとガーファンクルで有名になった“スカボロー・フェア”原曲を知る人はあまりいないと思うが、よくぞあんなふうにアレンジしたものだ。ポール・サイモンという人はやはり天才だ。

そして希花さんのハープで“The Mountains of Pomeroy”

休憩を挟んで、2部はクリスマスメドレー。僕が10年ほど前にバンジョーでアレンジしたものだが、かなり忘れていたところ、ユーチューブで弾いている人がいた。臆面もなく参考にさせていただいた。誰かは知らねど、有難う。

希花さんのハープやフィドルがまた、それらしく絡んでくれる。やっぱりアンサンブルは好きだ。

そして、これまた大好きな曲。ビリー・ホリディを想いながら…。リールと絡ませたこのアレンジは自分たちの中では結構気に入っている。

ジャッキー・マクリーンのようにはいかないが、涙なくしては語れないストーリーを持ったメロディだ。

そして希花さんの大好きなマイケル・ルーニーの演奏で覚えたタイトルの読めない美しいエアー。

正直、このコンサートの3日ほど前に覚えた曲だ。コード進行などをふたりで念入りにチェックした。

そしてパブロ・ネルーダの詩による革命の唄へ。この曲と、アコーディオンやブズーキなどを弾く中村大史君が創ったジグとを合わせてみたところ、この上ない素晴らしい楽曲に仕上がった…と思う。

中村君に感謝。

そして、またまた美しい次回CD候補曲。“Coilsfield House”ケヴィン・クロフォードや、コンサルティーナ・プレイヤーの友人ではあるが名前(特に名字)が読めない(僕はゲロードと呼んでいる人でマーティン・ヘイズと3人でコンサートをやったことがある)人の演奏で覚えた曲だ。

最後にCDから“Fairy Dance set”ちょっとアレンジして実際の録音とは変えてみた。

僕らの信条は、もうすでに誰かがやっているようなサウンドではない音を生み出すこと。沢山の音楽家がいるわけだし、アイディアとしては誰かがやっていても、それを更に自分たちの音にしていく、それも、トラッドとしての味わいを生かして…そこが難しいところかもしれない。

聴いた時に「あっ、これ希花&純二だ」って言われること。それが音楽で生き残って行くのには最も大切なことだろう。

僕にしてみれば、フォークミュージックを演奏し始めてから、そろそろ50年にもなる。そんな僕が、まだその半分しか生きてきていない希花と組むというのは、とても新鮮なものがある。

希花さんにとっても、パブロ・ネルーダの詩や、ビリー・ホリディなる人物などは新鮮なものだろう。

いろんな音楽を深く知ることにより、またアイリッシュ・トラッドをさらに深く知ることにもなるだろう。

僕らは次のCDのことを考えなくてはならない。次はどんなものでいくか…やっぱりスローな美しい曲も好きだし、こんどはもっといろんな楽器を使って、力強い曲も入れてみようか、など夢はまだまだ先へ先へと進んでいる。

寒いなかを来ていただいた皆さんに深く感謝します。

暫くの間、僕らを見守っていてください。