Mareka&Junji 南青山Cay withかまやつひろし

超大物かまやつひろしをゲストに迎えることを考え始めたのは、ほぼ2ヶ月ほど前。無理かな、と思いつつもメールをしてみるとすぐにお返事をいただけた。

かまやつさんとの繋がりは、さかのぼること1985年、もう30年にもなろうかという頃から。

どうしてそういうことになったのかはよく覚えていないが、九州、沖縄地方を二人でツアーした。

諸々の出来事についてはほとんどステージ上で話したが、それはそれは貴重な体験であった。

そんなことを相方の希花に話してみると「かまやつひろしさんって誰ですか?お笑いのひと?」というリアクションであった。

これはいつか会わせてあげないといかん、と思っていたところだったのでちょうど良かったわけだ。

会場にかまやつさんが現れた。

僕には全然変わっていないように見えた。

いつもにこにこ人に接してくれるかまやつさん。

10年ほど前に京都でお会いしたのも久しぶりだったが、その時よりも若返っているようにも見えた。

ちょっとだけ打ち合わせをして「なんとかいけるでしょう。じゃ、僕、ちょっとブラブラしてきます」と言って出て行った。

ほんの少しの打ち合わせでも希花にとってはかなりのインパクトだったろう。

「かっこいいなぁ」と連発していた。

確かに、使うコードも歌い回しも、行動も、なんかうまく言えないけどかっこいい。

さて、今回はあくまでゲストということなので、まず僕らが30分ほどのセットを演奏する。

Banks of Suir/Out on the Ocean/Fox Hunterでスタート。お客さんのほうに目をやると、後ろの方にかまやつさんが見える。

聞くところによると「楽屋にいかれますか?」というスタッフの言葉に「いえ、ここで聴きたいです」と答えたそうだ。

そのまま”夜汽車”そして”Mountains of Pomeroy”この日は、もちろんいつも来てくれる人や、もう僕らの音楽を沢山聴いてくれている人たちも多いが、

全くはじめての人も多くいるだろうと思い、結構スタンダードな曲構成にしてみた。かまやつさんがまさにそういう人のひとりだ。

僕らのコーナーの最後はアンドリュー・マクナマラから習ったFlowers of Forestから、グレイ・ラーソンのThunder Head、そのままマイク・マゴードリックのWatermanを8分の6拍子から7拍子に。

終わって、セット変えの間かまやつさんが言う「すごいね。すごいねこの女子」

さて、いよいよ3人での演奏が始まる。

まず、「どうにかなるさ」フィドルとバンジョーを使ってのカントリータッチから独特なかまやつさんスタイルに持っていってもらう。

”コードオタク”の僕からみても、かっこいいコード進行だ。もうすでにかまやつ節、炸裂状態。

2曲目は”四葉のクローバー”を希花のハープにのせて、僕とかまやつさんのデュエットで。

それからは、僕のリクエストでかまやつワールドをたっぷり披露してもらう。

やっぱり、この人には引き込まれてしまう。素晴らしいエンタティナーだ。

3人での最後は”花嫁”。何故この曲を選んだのかというと、かまやつさんという人をいつも「かっこいいなぁ」と言っていた省悟の言葉が僕の中に残っていたからだ。

かまやつさん自身は歌ったこともないだろうけど、省悟が大好きだったかまやつさんに横にいてくれるだけでもいいな、と思って選曲した。

みんなにも歌ってもらった。

それから、かまやつさんを送り出し、She’s Sweetest when she’s Naked”を演奏。

その後、最後に”八戸小唄”からReel Beatrice/Irene Curran/P.Joe’s Pachelbel Specialへ

八戸小唄は、最近レパートリーに取り入れだしたのだが、これは1973年のナターシャー・セブン八戸ツアー当時から好きだった歌だ。

今年の始め頃”瓦礫の下から唄が聴こえる”という佐々木幹郎氏の本を読んで深く感動を覚え、この歌がよみがえってきたのだ。

詳しくは是非この本を手に取って読んでほしいが、この日は希花の朗読から歌に入らせてもらった。後半は希花のフィドル炸裂、という構成だ。

そしてアンコール。

3人で”フォギー・マウンテン・ブレークダウン”。「こんなスピードにはついて行けないよ」といいながら結構つぼにはまったところを押さえるのはさすがだ。

そして、「営業っぽくていやだなぁ」というかまやつさんに無理矢理「下駄をならして奴が来る~」と”我が良き友よ”を歌ってもらい、最後にもうひとつ。

コットン・フィールズで締めくくり。

僕は本当にいい時間を過ごさせてもらったけど、希花はどうだっただろう。かまやつさんはどうだっただろう。それに一番大切なこと。お客さんはどうだっただろう。

そんなことを思いながらステージを降りると、沢山の人がすごく面白かった、良かった、と、本心から言ってくれているようで、それなりにみなさんにも喜んでもらえたようだ。

かまやつさんも「久々にたのしませてもらったよ」って言ってくれたし、希花も「しまった。お父さんに見せる為のツーショット忘れた。でもまたいつか会えるよね」と言っていたし、

なんといっても、この奇妙な組み合わせもそんなに不釣り合いではなかったようで、またどこかでご一緒できたらな、と思いながら帰路についた。

快く引き受けてくれたかまやつさんに感謝です。

スタッフの皆さん、足を運んでいただいた皆さん、どうもありがとうございました。

撮影:谷口眞樹さん