2017年 4月1日~9日 Brendan Begley Japan Tour

1日、どんより曇った空の下、名古屋に向かう。残念ながら新幹線からの富士山は拝めなかった。

そこから中津川の付知町にある鼓土里座に向かう。

どうしても彼を連れて行きたかった、本当に心から音楽を愛している古くからの友人たちがいる処。

ここでの滞在は彼にとっても特別なものとなるに違いない…という予想は見事に的中。

ちょっと最初からすっ飛ばし過ぎ?

三尾君をはじめ、メンバーとその奥さんたち、みんなの笑顔とおもてなしがいたく彼の心に響いたようだった。

 

2日、京都はいつもの永運院。

足踏みをすると周りの物が揺れて、いつこの歴史あるお寺が倒れるかと思うくらいの力強い演奏を堪能できた。

昔からの友人が沢山お手伝いをしてくれたし、天気も上々だったし、言うことなし。

 

3日、京都での一日オフ。天気はいい。前々から希花さんが行きたかったという伏見稲荷に出掛ける。「おめん」のおうどんを食べてもらって一路鳥居めがけてGo!

少し様子が見れればいいかな、程度に思っていたがスタコラサッサとはるか頂上を目指すブレンダン。想像はついていたが。

結局、頂上で小さな鳥居を買って名前を書いて奉納してきた。1年はあるのかな?

夜は「居酒屋ぴん」でアコーディオンを弾いてお酒をのんでご機嫌さんの一日だった。

 

4日、奈良の「丘の上食堂」栄くんにお世話になっての会。時間があったので「お前よりでっかいやつ観に行こうぜ」と、東大寺の大仏さんのところに行ってきた。

この日、なんと前日に伏見稲荷で出会ったアメリカ人の若い女の子が京都観光の途中なのにコンサートを聴きに来てくれた。そのバイタリティはさすが白人女子。

食事もお酒も上々の「丘の上食堂」彼女たちも音楽と合わせて楽しんでくれただろう。

 

5日、静岡は岩堀さんの「セレンディピティ」高校時代からの友人たちがみんなで助けてくれる。ブルーグラス一辺倒の人達も彼の歌に涙し、力強い演奏に身を乗り出して、最終的には気がついたら1時過ぎまで一緒に飲んでいた。

そういえば、三保の松原でもずっと曇り空で見えなかった富士山が、帰り道にふっと姿を見せた。それも水墨画で描いたような素晴らしい富士山だった。

 

6日、修善寺でお休み。少しアルコールを抜かなければ…。

7日、小田原。古矢さん、早野さんコンビによるいつもの「スパッツ」

昨日抜いたアルコール。今日はバーだし、ま、仕方ない。飲ませるか。

演奏もいつものように大爆発。歌はしっとりと満員のお客さん達にも涙なくしては聴けないものになった。

帰りにはガーガーといびきをかいて寝ていた。

 

8日、修善寺。いつものアルマジロ君による川のほとりでのコンサート。会場を見るなりこのロケーションが気に入ってくれたようだ。

やはり自然が大好きなんだろうし、その中で唄い、演奏してきた男だ。こんな絶好の場所はそうそうないかもしれない。

 

9日、川崎。一番心配していた場所かもしれない。特に思い入れのある場所ということでもなかったし、集客のことも気がかりだった。が、しかし、最終日ということもあり、彼も初めての日本ツァー、感慨深かったのだろう。楽屋で「最後だな。いままでありがとう。今日も張り切って行こうぜ」てなことを言って上機嫌。

最初のPort Na BPucaiから最後のMaster Crowleyのセットまで約2時間。たっぷり皆さんに楽しんでもらえたと思う。

 

毎日多くの人に助けてもらって今回のツァーが成功しました。主催をしていただいた方々のお名前は書かせていただきましたが、敢えてここにお名前を載せなかった大勢の方も本当に良くしてくれました。この場を借りて全ての方にお礼を申し上げます。

人類が歩んで来た中で欠かすことのできない音楽というもの。それがどのようにして生まれ、伝えられてきたか。彼を目の当りにしてこそ、僕らが演奏してきているアイルランドの音楽を初めて皮膚感覚で分かるような気がする。

常日頃からそんなに簡単に他人に教えたり、ライブをやったりできるような音楽ではない、と僕は考えている。僕らにはこの音楽に関わる責任があるし、彼のような人の唄を、演奏を目の当りにせず、その責任は取ることが出来ない。

そんな僕らにとっても実に感慨深い10日間だった。

ありがとう、ブレンダン。ありがとう、みなさん。