アイルランドからCiaran Somersがやってきた。僕らはアイルランドのパブで一度だけ一緒に飲んだことがあるだけだ。
もちろんお互いに存在は知っていたが、一緒に演奏したことはない。
Ciaran(キアラン)はアイルランドでも多くの生徒を教えているフルート奏者だ。腕もさることながら人望も厚い。僕らも楽しみにしていた。
さて、天気予報では少し雨が降りそうな感じだったが、京都は晴れていた。またしても晴れ男を自慢できたわけだ。
この日の会場はとても珍しいところ。侍をテーマにしたお店の一角。外人を連れてくるにはもってこいの場所だ。キアランの醸し出すフルートの音色はどこまでも力強い。フルートからこんなに歯切れのよい大きな音が出るのが不思議だと何度も思ったくらいだ。
彼のパイプもキーが低いオールドスタイルの柔らかい音色のものだ。全てがトラッドに根付いた素晴らしい演奏だった。
この時期、日本のいたるところでセント・パトリックス・デイのお祭りがあったり、様々なイベントがあっただろうが、キアランの奏でる音楽は、本当の意味でのトラッド・アイリッシュだった。
20日は僕がメインで、昔懐かしいナターシャーの歌、笠木さんの歌などを希花さんのマンドリンをフィーチャーして沢山歌った。
そしてこの日、京都に住む昔からの知り合いである猪間君が僕の使っていたギブソンRB500をかついできてくれた。
今では彼の元にあるものだが、何年振りだろう、多分40年ぶりくらいに再会したわけだ。
アーチ・トップの非常にカランカランの音がする、いかにも年季の入ったギブソンという感じ。おそらく1973年くらいから76年くらいは僕のメイン・バンジョーとして多くのナターシャー・ソングに君臨した物だ。猪間君ありがとう。
そして集まっていただいた皆さん、一緒に歌ってくれてありがとう。キアランも一緒に歌ってくれてありがとう。
先月デイルと演奏した時と同じ会場だ。
生音が素晴らしく、ここでもキアランの力強く、また繊細な音が響き渡った。集まってくれた人たちは本当の本物の演奏に触れることが出来たはずだ。
お忙しい中、どうもありがとうございました。
また、彼のソロ・アルバムは僕が今まで聴いたフルートアルバムの中でも最もお気に入りのひとつに数えられる素晴らしいものだ。
日本のアイリッシュ・ミュージック・ファンに素敵な音楽を届けてくれたキアラン。様々なヘルプをしてくれた僕の昔からの友人たち、遠くから駆けつけてくれた人たち、本当のトラッドを聴いてくれた全ての人達に感謝します。