先ず、千葉県の柏市。二人では初めての千葉なのだが、ひょんなことから昔の仲間の一人である近藤君のお誘いで実現した。
昔といっても、本当に昔のことで、1965年頃からの高校時代の話だ。
フォークソングが一世を風靡していた時代、僕と数人の仲間でサークルを立ち上げ、色んなイベントに出演したり、企画したり、と勉強そっちのけでフォークソングに熱中していた頃。
僕はバンジョーを担当していたので、キングストン・トリオやブラザース・フォーを中心にコピーしていたが、近藤君たちはPP&Mスタイルだった。
静岡という土地にあって、今聴いても(昔の録音)なかなか忠実にPP&Mサウンドを再現していたようだ。
彼はPP&Mのピーターの役目。少し高い声の持ち主だった。
それはともかくとして、彼と彼の奥さんが南柏でうどん屋さんをやっているということ。そして、そこのスペースを利用して音楽会を主催したいということ、などの話が今年の初めに持ち上がった。
地元でも評判のうどん屋さんらしく、出汁に目がない希花さんにとっても、その香りの中での演奏は喜ぶべきものかもしれない、ということで今回出向くことにさせていただいた。
勿論それだけではないが。
お店では彼の奥さん、息子さんをはじめとして、詳しく訊くのを忘れてしまったが、従業員の方たち(?)お手伝いの方たちがてきぱきと準備をしてくれて、手作り弁当から作り立ての出汁まで本当に美味しいものを堪能させて頂いた。
アイルランドでは絶対に味わえないもの。それはこの日本の空気というものにまで関係してくるのかもしれないし、表現するのは難しいが、とても美味しかった。
音楽会もPlanxty Irwinから「別れの唄」まで、約2時間。半分くらいは僕らを聴くのは初めて、という人達にも充分楽しんでもらえたと思う。
東関東ツァーの初日にふさわしい雰囲気で、僕らも美味しいものからお客さんの笑顔まで、全てを堪能させていただいた。
近藤君、奥さんのはるみさん、息子さん、お手伝いのみなさん、駐車場係のみなさん、そして足を運んでいただいた皆さん、全てに感謝します。
そして2日目。いつもの越谷おーるどタイム。ここもすっかり年に何回もお世話になるようになってしまった。
今回は椋野さんと一緒にMidnight on the Waterを演奏することが一つの目的だった。と言えども、こちらで勝手に決めてしまったことだが、オールドタイムやブルーグラスのフィドラーである椋野さんにとってはスタンダードな曲だろうということで選んだ。それにおそらくツイン・フィドルで演奏した方が良い、と感じたからだ。
それを2部のあたまにもってくることにして、今日は希花さんのコンサルティーナによるCarolans Receipt(Planxty John Stafford)からスタート。1部は「青春の唄」からAnna Foxeということで同じ楽器で始まって終わる、ということにした。
コンサルティーナで始まってコンサルティーナで終わる、というのは僕らにしては珍しいことだ。
そして、久々に「ダッチマン」も唄わせてもらい、May Morning Dewのリクエストもあったり、そうそう、この日は朝から雨が降っていて、それも時折かなり激しく降ったりして、こりゃ参ったな、と思っていたが、開場時間少し前になると陽が差してきたので、それを見た希花さんがOctober Rainをやろう、といういいアイディアを出してくれた。
もちろん「朝の雨」も。
奥さん、いつものタコライス、美味しかったです。
椋野さんのフィドル、やっぱり素晴らしかったです。ブルースを感じます。
おーるどタイムに来るまでにかなり濡れてしまった方もいたかもしれませんが、なんとかお天気も回復に向かい、お帰りの足元は大丈夫だったと思います。
みなさん、どうもありがとう。
3日目は茨城県の石岡にある古民家。そこに住んでおられる永井由美子さんからのお誘いだ。
以前から素晴らしい処と聞いていたのでチャンスがあれば、と思っていたのだ。
裏に竹林と田んぼがあり、野菜も全て自家製。囲炉裏の優しい火と共に、古い木と、畳の温もりが感じられる素晴らしい空間。
都会育ちの僕らはなかなか住めるようなところではないし、日々の過ごし方もよくわからないが、永井さんをみていると寝る暇もないくらいに動き回っているようだ。
今日のコンサートのためにそんな永井さんの友人たちが素晴らしいお料理を用意してくれている。
みんな永井さんのお人柄に魅かれて集まってくる人、そしてそんな彼ら(彼女たち)にも魅かれるものを感じてしまう。
とても大事なことだ。今の世の中、まともに相手に接することなく「つぶやき」などと称してパソコン上でしか物事を言えない輩が増えている。
ここに集まっている人達にはそんなバカバカしさを全く感じることがない。こういう人達に囲まれていると、人と人との心の繋がりがいかに大切かがよくわかる。
PAは地元の若者、ギタリストでもある「わたる君」が担当してくれた。彼のお母さんも一緒に手伝ってくれてすごくいい感じだった。
わたる君も様々な角度から音を聴いてくれて、めんどくさい要望にも常時にこやかにテキパキと対応してくれて本当に気持ちよかった。
また、ここにも初めて僕らを聴く、という方が半分以上おられたので、そういう時は大体Si Bheag Si Mhorから入るようにしている。(またはそのような曲調から)
そしてめっちゃ珍しくIrish Washerwoman / Rosewoodのセットも。この3日間は季節がらということもあり「小さい秋みつけた」も、そして永井さんのリクエストで「疲れた靴」
疲れた靴を脱いで休んでいかないか、という歌詞にあるような、そんな場所にこの古民家を考えていただけたら、という強い思い。僕は「すみません、新しい靴履いてきちゃった」と返しておきました。いやいや、そういう問題ではなくて…。
あまりにみなさんの笑顔が素晴らしく、永井さんの自然な姿が美しく、ついつい長い(しゃれではない)時間やってしまいました。
座布団に座っておられた方々は疲れたと思います。疲れた靴を脱いだらまた疲れたりして。
「まだ言うんか。もう疲れた」という永井さんの声が聞こえそう。
今回この3日間のツァーを組んでくれた、高見さん、高橋さん、永井さん、本当にありがとうございました。
全て完璧にスケジュールを組んでいただいて、打ち合わせのために綿密にメールや電話で連絡をくれて本当に助かりました。心から感謝いたします。
そういえば、この日も朝からかなりの雨。でも午後からはすっかりあがってくれました。
全ての方のお名前が把握できませんが、永井さんをはじめ、お料理、お茶、パン作り、生け花、そして、素晴らしいお皿を作られている方、皆さんどうもありがとうございました。
そして皆さんにもお忙しい中じっくり聴いていただきました。
集客には限りがあったので、お断りしてしまった方もおられたようです。また次の機会にお会いしましょう。
僕らにとっても貴重なひと時でした。なので必ずまたお願いすると思います。
皆さん、どうもありがとう。


撮影:高見恵子